ぎっくり腰で歩く、歩ける、歩けない
歩く
当たり前にやってきた事こそ、大切な事です。自然にできるから見逃しがちですが、もしロボットに目的地まで歩け!と命令したとして、大変な量の複雑なプログラムが必要だと思います。それを人間は無意識にできるのです。寝返りし、ハイハイ、タッチ、ヨチヨチと歩いてきたと思います。その積み重ねが実は複雑な歩行を可能にしているのです。ぎっくり腰の時は歩くことが大変になります。それは何か身体のプログラムが乱れているからです。もちろんそれは体幹に関わるプログラムです。身体をうまく支えられない為に、片足になれないからです。
歩ける
普段はなにも考えずに上手に歩けていたのに、いざぎっくり腰になってしまうと歩けない。足が前に出ない、足が伸ばせない、立っていられない。これは体幹に関わる筋肉の連携が乱れているから、自分の身体の自重を支えられない為に起こります。ですから、体幹に関わる筋肉の連携を改善してあげられれば、自然に問題は解決します。体幹とは筒の様なモノであり、口から肛門までチューブの様になっています。実は人間も究極的には蛇やミミズと変わりません。これはとても大切な考え方です。四十肩や五十肩の原因にも関わりますし、身体の優先順位を明確にするモノです。話を戻して、筒は空間です。機能的な形・構造が大切なのです。どうやってその形や構造を支えているのでしょうか?骨や筋肉が網の目のように繋がり、引っ張り合い、さらに圧力を掛けることで強固に固まるのです。その強さが小さな子どもから相撲取りの様な大男まで支える事のできる体幹なのです。ぎっくり腰ではその体幹が機能しなくなるため歩行など緊急性の高い重大な問題が発生するのです。
歩けない
歩けないのは体幹の機能が低下し、自重を支えられないからなので、支えられるようにしてあげればいいはずです。そのためには、まずお腹に力を入れられるようにしなければなりません。お腹に力を込め、腹圧を掛けることで体幹が機能するからです。ではどこに力を掛けるのが一番安全で、効果的かというと、もちろん下腹部です。なぜならば、腰骨に囲まれてしっかりと固定できる場所だからです。妊婦さんは大きなお腹をしていますが、案外身軽に動きます。それは自然に下腹部に力が掛かるからなのではないでしょうか?しかし、横隔膜あたりやへそ周りの肋骨に力を入れようにも絶えず動きのある場所なので動きが定まりません。これでは毎回毎回複雑な計算を求められるために身体も脳も疲れてしまいます。その為にミスも多く生まれ、故障やパフォーマンスの低下が心配されますし、最悪はぎっくり腰になります。
まとめ
これで下腹部に力が入ればいいことがわかっていただけたと思います。そこで、ぎっくり腰になってしまった時にはどうしたらいいのでしょうか?まず仰向けになってみて、寝返りがどのくらいできるかどうか確認します。そしてゆっくりと下腹部に力を入れます。急に力を入れてしまうと激痛が走り、パニックが増したり、改善自体を諦めてしまうかもしれません。必ずゆっくりと力を入れます。呼吸をするように何度も繰り返してみてください。そして感じます。初回の力を入れた時、今の力の入れた時の力の入れやすさや痛みの変化を感じてください。パニックを起こしている場合、恐怖でストレスが高いと痛みも強く、何倍にも感じるモノです。だからそれ自体を避けようとしてイップスの状態、つまり、単純な事さえ忘れさせてしまいます。しかし、産まれてこれまで、お腹に力を入れなかったことなどありません。自分を信じて少しずつ力を入れ、ゆっくりと繰り返してください。ある程度力が入る様になれば、寝返りをします。必ず最初と比べるように!寝返りがしやすければ成功です。どうせ何もできないのですから、これを繰り返してみてください。そのうち寝返りに自信が出てきたら、何としても正座します。寝返りがしやすいということは体幹が戻ってきたことなので、姿勢維持が可能です。正座をしても楽になっているはずです。正座ができれば、膝立ちします。膝立ちからそのまま立ち上がり、これをまた繰り返すとよいでしょう。そしてあるいてみてください。歩けば歩くほど、良いです。それは産まれてから今まで、立って歩いた本人のたしかな記憶があるからです。パニックを起こしていても自分は歩けるという信頼が助けてくれます。自分を一番わかっているのはやはり自分なのです。